サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

資産形成の方法

30代になったときにやっと資産形成の方法を考え始めた。早い人は就職したタイミングで資産形成を考えている人もいるかもしれません。
しかし、自分は遅かった。今もつみたてNISAなど優遇措置のある投資を行なっているが長期的な投資のため続けていくしかなさそうです。

何か今できることはないだろうかと思っていたところ、知人から数百万で会社を買うツアーがあるらしいという話を聞きました。
ん?数百万で会社を買ってどうするんだろう?そういえばホリエモンもそんな本を出していたような…と調べてみると、ホリエモンは推薦しているだけでしたw

資本主義における人は2つの種類に分けられる。資本家のためにがんばって働くこちら側の人と、資本を持っているあちら側の人です。
この本はあちら側も人になるための方法として、300万で中小企業を買うという手段が有効であるということを説明しています。

会社を買うことのメリット

では会社を買うことのメリットは何があるだろうか。

  • 会社を買う=株式を買うので、配当が得られる
  • 社長になれば役員報酬が得られる
  • 定年がない
  • キャピタルゲインが得られる

配当が得られる

サラリーマンとしてがんばっても毎年の昇給はわずか、ボーナスも爆発的に上がるわけではありません。最近は副業を許可している企業も増えていますが、労働力が自分だけであるという点ではやはり限りがあります。
しかし事業における収益となると、会社全体の人々の労働力で得られた収益となります。
本書ではソフトバンクの孫正義さんを例にあげていますが、そこまでではないとしても、会社の収益が自分に返ってくると考えると規模が違います。

役員報酬が得られる

これはサラリーマンにおける給料・ボーナスのようなものです。ですが、サラリーマンのそれと比べるとやはり高額です。

定年がない

本書でもLIFE SHIFT 100年時代の人生戦略を引用して、サラリーマン引退後の人生が長くなってきていることを示しています。
サラリーマン引退後のキャリアとして自分が買った会社の成長に貢献していくというのはとてもやりがいのある仕事になるのではないでしょうか。
今行なっている仕事が楽しくないものだとしても、定年後に行える仕事は自分が本当にやりたかった仕事を行いたいですね。そのためにも自分がやりたい仕事を行うための会社を買うということはとても有意義です。

キャピタルゲインが得られる

本書でも繰り返し出てくるキャピタルゲインとはなんでしょうか。

キャピタル・ゲイン(capital gain)とは債券や株式、不動産など資産価値の上昇による利益のことを言う wikipediaより

会社が成長すれば株価も上がる、会社が不動産を持っていればその価値の上昇が見込めるということでしょうか。最終的に会社を売却する場合に得られる収入ということでしょう。これは副次的なメリットくらいの位置付けですね。

起業はやめておいた方がいい理由

会社を作る方法には起業という方法もあります。本書ではなぜ会社を買う方法を勧めているのでしょうか。

簡潔にいうと、起業には様々なリスクがあり継続していくのが非常に難しいということです。
本書では起業から会社を作っていくことが難しいことをベンチャーキャピタルからみた起業の成功率をもとに説明しています。
起業で成功するのは1000社のうち3社しかないということです。この確率では起業しようという気はなくなりました。相当な信念がある人のみチャレンジしてもよい領域なのでしょう。

飲食店経営はやめておいた方がいい理由

起業と同じように、飲食店経営もやめておいたほうがいいと本書では説明しています。
よく聞く、定年後に趣味で喫茶店を始めましたなど飲食店経営は選択肢としてあるものかと思っていました。わたしも読書が趣味で、たくさんの本が家にあるので、本が読める喫茶店を経営するなども楽しそうだなと思っていました。

飲食店経営はやめておいた方がいい理由は何でしょうか?
こちらも簡潔にいうと、飲食店事業はレッドオーシャンだからです。
また飲食店経営独特のコスト構造などもあり、飲食業に精通したプロでないかぎり手を出さない方が良さそうな印象です(決して趣味の延長で行うものではないということを理解しました)
飲食店経営を始めるくらいなら他にもっと成功率が高い業種がたくさんありそうです。

どういった企業を買うか

それではどういった企業を買うのがよいのでしょうか?

  • スタートアップは買わない
  • 10年以上継続している中小企業を買う

スタートアップは買わない

起業の難しさは先ほど記した通りです。起業してから5年後の生存率が42%、10年後の生存率が23%と本書で記されています。やはりスタートアップを買うのは先行き不安と言えるでしょう。

10年以上継続している中小企業を買う

10年以上継続しているというのは上記のスタートアップを買わないという理由から10年以上継続している企業は今後も継続が期待できそうです。
また、中小企業というのは大企業とは異なり、まだたくさん改善できる部分があるということを本書では説明しています。
私も比較的大きめな企業に勤めていますが、社内制度はしっかりしています。今までの失敗の積み重ねからいろんな制度ができたのでしょう。そういった部分では効率的ではないところもあるかもしれませんが、全体的には最適化されていると思います。
中小企業ではまだそういった制度や文化ができておらず、これからその辺りを改善することでさらに伸び代があるのではないでしょうか。言い過ぎかもしれませんが何もなく10年継続できた会社はさらによくなる可能性を秘めていそうですね。

企業を選ぶ際に必要な数字を読む技術

10年以上継続している中小企業ならなんでも良いかといったらそんなことはありません。
BS、PLなどをしっかりみて経営状態を把握できるようにならないといけないですね。
専門家に任せても良さそうですが、この辺りは自分で判断できるようになりたいので勉強していきたいと思います。

企業を買うことのリスク

今まで良い面ばかり見てきたが本当にそんな継続的に利益をあげている企業はあるのだろうか?
わたしもそんな美味しい話があるのか疑問に思っていた。その疑問に対して本書は以下のように回答している。

  • 疑問1 売りに出ている会社は価値のない会社なのでは?

わたしも知らなかったのですが、なんと中小企業の半数以上がなにかしらの理由で黒字廃業しているらしいのです。
なにかしらの理由とは一体なんでしょうか。
さまざまな理由がありそうですが、一番大きな問題は後継者不足という問題のようです。全体の70%が後継者不足により黒字廃業していると本書では記されています。
わたしのような素人は、黒字だったら社員の誰かが社長を引き継げばよいのでは?と思ってしまうのですが、オーナー社長の場合はオーナー社長のワンマン経営で事業が成り立っている場合が多く、従業員を社長にして事業継続させるのは難しいようです。
なので、売りに出ている会社は価値がないのか?というとそんなことはありません。

  • 疑問2 優良企業は高いのでは?

企業の値段の付け方は色々複雑なようです。
一般的な市場のように需要と供給の規模がある程度あり、それぞれのバランスによって金額が決まれば「良い企業=高い」となりそうですが、それほどの市場規模がありません。
また、売りに出している企業は何かしら理由があります。早く現金が欲しいなどの理由であれば一般的に見た価値よりも低い金額で売りに出されている可能性があります。
結局はその企業の価値を見抜く目を持てるようになることが重要なのです。

  • 疑問3 「未来」がないのでは?

黒字になっている企業であれば、収益の要になる製品・商品はあるのでしょう。
その製品・商品はコストがかからずに作成できるものであれば、今後しばらくは継続して利益をあげることができます。
その製品・商品が未来があるものかどうかは企業を経営の実態を理解することが重要だと思います。BS・PLに載ってこない部分もある程度知る必要があります。その部分を理解した上で継続可能な事業かを判断する必要があると思います。
本書では疑問3の回答を「縮小均衡の業界でも、すでに事業が回っている会社であれば、その事業の延長線上にある、時流に沿った市場へ資源を投下すれば良い」としています。確かにその通りですがある程度の経験がないと難しそうですね。

実際に企業を買うには?

今まで中小企業を買うメリットを見てきました。では実際に中小企業を買うにはどうしたら良いでしょうか?

準備を開始する

本書では40〜50代で始めるのが良く、定年退職になってから探し始めるのでは遅すぎると説明しています。確かにその通りでしょう。

企業の売却情報を入手する

以前は企業の売却情報などは表に出ることおはありませんでしたが、今はM&A仲介をビジネスにしている会社がいくつかあります。本書で紹介されているのは以下の3社です。

その他にもM&Aを手がける会社が今後増えていくと予想されます。

また、今はインターネットで検索できるようになりました。売却中の企業が検索できるサイトがあるようです。
先ほどのストライクが運営するSMARTで売却中の企業を検索できます。

購入する会社の中身を見極める

対象の企業をある程度見つけたら、その企業の中身を確認する必要があります。
本書ではたくさんのチェックポイントが記載されていますが、注意しないといけないのが、中小企業には社長しか知らない「ブラックボックス」な部分が存在する場合が多いということです。
なので、本書でおすすめしている方法は対象の企業で役員として2年ほど働いてみることです。
2年後の買収を前提に役員として会社内で働き、何か問題が見つかった場合には買収をやめることができるように契約を結んでおくというものです。
そのような契約ができるのであればそれが一番良さそうですね。

まとめ

資産形成やサラリーマン引退後の働き方として中小企業の買収はとてもいい選択肢になりそうです。
ただ買収する企業の見極め方が重要になる。
見極めるためには正しく企業の状況を把握することが大事なので、財務三表と呼ばれるBS(賃借対照表)、PL(損益計算書)、キャッシュフロー計算書を正しく読めるようになろうと思う。


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